ダイオキシン類というのは、構造がよく似ている化学物質を総称してそのように呼びます。その全てに毒性があるわけではく、わずか20種類ほどのものに毒性があるとされています。毒性のないものも多いダイオキシンですが、もっとも強い毒性をもつダイオキシンは、サリンの二倍もの毒性を有し、一グラムで一万人もの人を殺すことができるといわれ、まさに最強の人工猛毒物質です。一番最初は、ベトナム戦争で米国が空中散布していた「枯葉剤」にダイオキシンが含まれており、これが、ダイオキシンが注目されるきっかけとなりました。この結果、ベトナムで枯葉剤が大量使用された地域では、ガンや流産、生殖異常、新生児の先天性異常などが数多く見られるようになりました。恐らく、「ベトちゃん、ドクちゃん」のニュースを聞いたことのある人は多いのではないかと思います。米軍が使用した枯葉剤の中に含まれているダイオキシが、これほど痛ましい事件を引き起こしたのです。
ダイオキシンは、ものを燃やすと発生します。一般的には、プラスチック、ビニール、ポリ塩化ビニルなどを不完全燃焼させることで発生すると言われています。逆にいえば、800度を超えるような高温で完全燃焼させると、ほとんどダイオキシンが発生しない、ともいわれています。設備の整った焼却施設であれば問題はないでしょうが、燃焼温度を十分得られない小規模な焼却炉、または各家庭でごみを燃やす、ということは環境に非常に悪いわけです。しかし、田舎などでは、今でも家庭のごみを家で燃やしたりしているのが現実です。
ダイオキシンには、長期間、継続的に摂取することで、その影響がだんだんと現れてくる慢性毒性という性質があります。すぐにその影響が出てこないだけに、長時間摂取してしまい、結果、気づいた時にはガンの発生、生殖異常、免疫力低下、新生児先天性異常などの重大な症状が現れます。また、ダイオキシンは水に溶けにくいので、体内に摂取されると分解されにくく、脂肪に蓄積されやすくなってしまいます。したがって、ほんのわずかずつでも体内に取りこまれていくと、それらが次第に蓄積され、重大な健康被害を及ぼす可能性があるわけです。グレープフルーツや食物繊維の豊富な野菜などはダイオキシンを体外に排出する働きがありますが、何よりもまず体内に入れない、ということが一番大切だといえるでしょう。また、ダイオキシンには慢性毒性のみならず、青酸カリのように、急性毒性も備えています。まさに最悪の人工猛毒物質だといえるでしょう。
ダイオキシンは非常に安定した物質なので、一度発生してしまうと、空気汚染のみならず、土壌や河川など、あらゆる環境中に汚染が広がります。これらは海などにも流れ込み、結果、海の微生物、それをえさにする小魚、それを捕食する魚を経て、人間へと食物連鎖を通じて人類の体へと蓄積されてゆきます。ダイオキシンは魚介類などにも含まれているのです。もちろん、肉類や卵、乳製品などにも含まれていますが、例えば魚介類のみを大量に毎日食べつづける、などといったことがない限り、今の所は大丈夫なようです。体外に排出するはたらきのある野菜など、バランスのとれた食事を心がけましょう。また、一度自然界に出回った汚染物質は、予想外の広がりをみせるため、「自分一人だけだから」などと無責任な発想をもつことなく、意識をしていただきたいと思います。
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