実は、もともと自然の雨というものは弱酸性です。学校で習った理科の授業を思い出していただきたいのですが、酸性を示すのはPH(ペーハー)という数値で表します。PH7が中性、PH7より下が酸性、上がアルカリ性です。自然の雨は、PH6、という弱酸性を示すのが本来です。これは、なぜかというともともと大気中にもCO2(二酸化炭素)が含まれていますので、このCO2が溶けてこのように弱酸性を示すことになるわけです。環境問題としてとりあげる酸性雨とは、PH5.6以下という、強い酸性の雨のことをいいます。では、なぜ、大気汚染物質を含まない、自然の雨がもっている弱酸性は、河川、湖沼や土壌を酸性化しないのでしょうか?それは、自然にはもともと酸性化したものを中和する能力が備わっており、PH5.6という数値よりも上の弱酸性であれば、本来の中和能力で中和してしまうのですが、継続的にそれよりも強い酸性雨が降ってしまうと、自然の中和能力を超えてしまい、湖沼、河川などが酸性化してしまう、というわけです。
まず、もっとも最初に挙げられるのが河川、湖沼などの水を酸性化させることにより、生態系へ与える影響だといえるでしょう。特に、湖のように、流れのないところだと継続的に降り注ぐ酸性雨の影響で、生物そのものが住めなくなる、ということもありえます。酸性が増すにつれ、プランクトン、それをえさにする小魚、大型の魚と、その姿を消して行くことになります。最後には、大型魚を捕食する鳥の姿も、その湖からは消えてしまう、というわけです。実際に、スウェーデンやノルウェーなどの湖沼では、水生生物が全滅している所もある、との報告がなされています。
また、樹木や森林へ与える影響も大きいと考えられています。酸性雨により、傷つけられた植物は、光合成を正常に行えなくなります。さらに、土壌自体が酸性化すると、土壌に含まれている毒性を有する金属類が溶け、それを吸収した樹木が枯れてしまう、という影響もあるのです。その他、人類の遺産である歴史的建築物や文化財なども、コンクリート、大理石、金属を腐食させるこれら酸性雨によって、被害がでています。アメリカ・ニューヨークの自由の女神像が酸性雨により腐食され、これを修理した、というのは有名な話です。これら酸性雨の影響は、特にヨーロッパなどで大きい被害を出しています。
原因は、工場や自動車から排出される窒素酸化物や硫黄酸化物です。これら、大気汚染物質が酸性雨の直接の原因であるとされています。地球温暖化問題でも触れますが、石油や石炭といった化石燃料を燃焼させると、二酸化炭素、硫黄酸化物、窒素酸化物などが生成されます。そうして、これらは生物にとって有害です。さらに、大気中に排出されたこれら汚染物質は、大気中の酸素などと化学反応をおこし、酸性の強い「硫酸」や「硝酸」に変化します。これらはやがて酸性雨となり、地表にふりそそぎます。結果、湖沼、河川の生物を死滅させたり、森林・樹木を枯死させてしまうわけです。これら石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料は、現代社会を支える重要なエネルギー資源です。「危険です」「ハイ、じゃあやめましょう」とはいかない所に、この問題の根深さをうかがうことができます。
|環境問題 地球温暖化 を考えるTOP|サイト利用時の注意点|
環境問題 地球温暖化 を考える All Rights Reserved. 2008 lastupdate:08/07/23